名前

どんなに異質な人たちの集まりよりも
自分と一見“同じ”とされる
集まりでもっとも疎外感を感じた

アジアンプライドも
日系人のプライドも
わたしにはなかった

アジア人としての歴史も日系人としての経験も
持っていないわたしはその場で打ちのめされた

一体わたしが日系人でないのだとしたら
わたしがアジア人でないのだとしたら
一体わたしは何なのだろうか?

わたしはまだアメリカ人ではなく
もう日本人でもなかった


「アジア人」としきりと声をかけられるのだけれども
振り向くこともまだできなかった


2つの大陸をつなぐ
だだっ広い海のうえで
わたしはただ一人だった